子どもの病気・症状
小児の食物アレルギー
食物アレルギーとは
食物アレルギーは、特定の食べ物を摂取したときに免疫が過剰に反応して体に症状を引き起こす病気です。主に乳児期~幼児期に多く見られます。原因となる食品(アレルゲン)は年齢によって異なりますが、卵・牛乳・小麦の3大アレルゲンが小児では特に多く、他にも大豆、ピーナッツ・木の実、魚介、果物など様々です。成長とともに自然に治る(耐性がつく)場合も多くあります。
主な原因食品(アレルゲン)
- 鶏卵(特に卵白。乳児期の食物アレルギーで最も多い)
- 牛乳(粉ミルクや乳製品全般)
- 小麦(パンや麺類など、小麦を原料とする食品全般)
- 木の実やピーナッツ類
- 魚介類(魚そのものや魚卵、甲殻類など)
- 果物類(キウイ、バナナ、桃 など一部の果物)
たとえ微量(料理に混ざった程度)でも症状が出るお子さんもいるため、注意が必要です。
主な症状
症状は皮膚、消化器、呼吸器など全身の様々な臓器に現れます。症状の出現までの時間や重症度は個々で異なります。
- 皮膚症状:じんましん(赤い膨疹)、発赤、かゆみ、まぶたや唇の腫れ、湿疹の悪化 など
- 消化器症状:口の中の違和感、嘔吐、腹痛、下痢、血便 など
- 呼吸器症状:咳、ゼーゼー(喘鳴)、くしゃみ、呼吸困難感 など
- 全身症状(アナフィラキシー):複数の臓器にまたがる激しい症状。意識がぼんやりする、声がれ、喘鳴、血圧低下、チアノーゼなど
※アナフィラキシーは命に関わる重篤な状態で、早急に緊急処置が必要になります。
検査について
必要に応じ血液検査等も行いますが、実際の症状とあわせて総合的に診断します。検査値だけで食品の除去などを判断せず、必ず医師が全体を評価します。
・血液検査(特異的IgE抗体検査)
疑わしい食品に対するIgE抗体価を調べます。「何にアレルギーの可能性があるか」の目安になりますが、検査結果が陽性でも実際に症状が出ないケースも多々あり、その場合はその食品の除去を進めることは適切ではありません。
・皮膚テスト(プリックテストなど)
アレルゲンを皮膚にごく少量つけ、皮膚の反応(膨疹や発赤)を見る検査です。即時型アレルギーの有無を簡便に確認できます。
・食物経口負荷試験
食物アレルギーの最も確実な診断法です。入院または医療管理下で実際に原因食物を少量から段階的に食べ、症状の有無を確認します。この試験で安全に摂取できれば、家庭での食事に組み込める量を判断できます。
日常生活でのポイント
食物アレルギーがあるお子さんが安全に生活するには、適切な食事管理と周囲の理解・協力が不可欠です。
- 食事管理:原因と診断された食物は基本的に医師の指示に従って除去します。ただし成長に伴い摂取可能になる場合も多いので、定期的に再評価しながら必要最小限の除去に留めます(過剰な除去は栄養不足やQOLの低下につながるため不適切です)。卵や牛乳など加熱するとアレルゲン性が弱まる食品もあるため、医師の指示のもと少量から加熱食品を試す「経口免疫獲得」を図ることもあります(例:卵黄やよく焼いた卵焼きから開始し、徐々に全卵へステップアップ など)。
- 食品選び:加工食品を購入する際は必ずアレルゲン表示を確認します。「本製品は〇〇を含む製品と同一ラインで製造しています(コンタミネーションの可能性)」等の表示にも注意しましょう。外食時も店員さんに材料を確認する、アレルギー対応メニューを利用するなど慎重に対応します。
- 園・学校との連携:保育園や学校にはアレルギー対応指示書や生活管理指導表を提出し、除去食や緊急時対応について情報共有しておきます。給食担当の先生とも密に連絡をとり、代替食・持参食について相談しましょう。
- 家族全体の理解:ご家族や周囲の大人も、お子さんのアレルギーについて正しく理解し協力することが大切です。きょうだいがいる場合、誤食を防ぐためアレルゲン食品を手の届かない所に置く、お兄ちゃんお姉ちゃんにも食後の手洗いや配慮をお願いする、といった家庭内ルールを決めます。
治療について
食物アレルギーに対して、症状や年齢に応じ以下のような対応も取られます。
エピペン®の処方
過去にアナフィラキシーを起こしたことがある、または今後重篤な反応が起こるリスクが高いと判断されたお子さんにはエピネフリン自己注射薬(エピペン®)が処方されます。これは万一のアナフィラキシー発症時に保護者や周囲の大人が太ももに筋肉注射し、急場をしのぐための薬です。使い方は事前に練習用キットで習熟しておき、常に携帯するようにします。
まとめ
| 原因 | 特定の食品による免疫の過剰反応(卵・乳・小麦・ナッツ類 などが多い) |
|---|---|
| 症状 | 皮膚(じんましん等)・呼吸器(咳喘鳴等)・消化器(嘔吐下痢等)に症状が出現する。重症ではアナフィラキシー(意識低下や呼吸困難)を起こす。 |
| 検査 | 血液検査(特異的IgE)、皮膚プリックテスト、経口負荷試験など |
| 治療 | 原因食品の適切な除去+必要に応じた薬物療法(抗ヒスタミン薬、外用薬 等)。アナフィラキシーリスクが高ければエピペン®の携帯を行う。 定期的な再評価で、食品の除去内容を見直す。 |
| 日常生活の対応 | 食事管理(表示確認・代替食活用)、食品表示の確認徹底、園や学校と情報共有、家族ぐるみで誤食防止策を講じることが大切。 |
補足
食物アレルギーはご家族にとって不安が大きい疾患ですが、正確な診断と適切な管理を行えば安全に成長を支えられます。除去するかどうか迷う食品や、誤って食べてしまったときの対応など、一人で悩まずに早めにご相談ください。一緒に丁寧にサポートしてまいります。

