子どもの病気・症状

感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)

感染性胃腸炎とは

感染性胃腸炎はウイルスや細菌の感染によって胃や腸に炎症が起こる病気です。嘔吐・下痢・発熱・腹痛が主な症状で、いわゆる「おなかのかぜ」「嘔吐下痢症」と呼ばれます。子どもの場合、原因の多くはウイルス性(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)で、冬場に流行しやすいですが一年中みられることもあります。

主な症状

  • 嘔吐(突然の嘔吐で始まることが多く、半日~1日程度で回数は減ってきます)
  • 下痢(水のような下痢便が日に数回~十数回出ます。下痢は1週間程度続くことがあります)
  • 軽い発熱(37~38℃程度の発熱を伴うことがあります)
  • 腹痛・活気低下・食欲低下(お腹の痛みや不調から機嫌が悪くなったり、食欲がなくなります)

 

※ 多くの場合、時間の経過とともに自然に回復しますが、脱水にならないよう注意が必要です。

検査について

通常は症状と診察所見から診断しますが、必要に応じて以下の検査を行うこともあります。

 

  • 迅速抗原検査:原因ウイルスを迅速抗原検査で確認をすることもあります(必要に応じ実施。全例に行うわけではありません)。
  • 細菌培養検査:血便や激しい腹痛があり細菌性腸炎を疑うとき、便を培養して原因菌を調べます。
  • 血液検査:低血糖の有無や、炎症の度合いなどの確認のために、必要に応じて実施します。
  • 尿検査:脱水の有無・程度を確認するために、尿比重や尿中ケトン体を調べたり、ほかの疾患との鑑別を行うことがあります(必要に応じ実施します)。

日常生活でのポイント

脱水進行の予防が最優先されます。

 

  • 水分・電解質補給を最優先に!嘔吐や下痢で失われる水分と塩分をしっかり補うことが重要です。市販の経口補水液(OS-1®など)や、冷ました麦茶・イオン飲料・薄めたスープなどを少量ずつこまめに与えます。嘔吐が落ち着いたら、5~10分おきにスプーン1杯程度の水分を口に含ませるなど、少量頻回で与えると良いでしょう。嘔吐がひどい間は無理に固形物を与えず、水分補給に専念してください。
  • 食事は無理せず:嘔吐がおさまり、本人の食欲が出てきたら、消化の良いもの(やわらかいうどん、スープ、すりりんご など)から少しずつ再開します。一度にたくさん食べさせると嘔吐がぶり返すことがあるので注意します。無理に食べさせる必要はありません。水分さえ摂れていれば、数日食事量が少なくても大丈夫です。徐々に普段の食事に戻していきましょう。

治療について

ウイルス性胃腸炎の場合、ウイルスに直接効果がある薬はありません。治療は症状を和らげる対症療法になります。

嘔吐 必要に応じ、医師の判断で吐き気止めの坐薬や内服薬を処方します(自宅ではまず姿勢を横向きにする、吐物が気道に詰まらないよう注意)。
下痢 下痢止め(止瀉薬)は急性期には使用しません。ウイルスや菌を体外に出すため、無理に下痢を止めないほうが良いからです。代わりに整腸剤を処方することがあります。
発熱 アセトアミノフェンなどの解熱剤で熱を下げます(ただし、高熱であっても機嫌が良ければ必ずしも使う必要はありません)。
脱水が強い 顔色不良、皮膚のツヤの低下、尿が出ないなど脱水を疑う所見がある場合、早めに受診し、診察を受けましょう。

登園・登校について

感染性胃腸炎は非常に感染力が強いため、嘔吐がなくなり、普段通り食事・水分がとれることを確認してから登園・登校を再開しましょう。具体的には、最後の嘔吐から少なくとも丸1日は経過し、食欲・元気が戻っていることが目安です。園や学校によっては「症状消失後○日経過」「下痢が止まってから」といった基準が定められていることもありますので、確認してください。

家庭での注意点(感染予防)

家庭内での二次感染を防ぐため、以下の点に気を付けましょう。

 

  • 嘔吐物・下痢便の処理:使い捨て手袋・マスクを着用して行い、処理後は塩素系消毒液(次亜塩素酸ナトリウム)で汚れた床や衣類を消毒します。嘔吐物を拭き取った雑巾等は使い捨てるか、しっかり洗濯・漂白してください。
  • おむつ交換後・トイレ後の手洗い:家族全員、石けんと流水で念入りに手を洗います。アルコール消毒はノロウイルスには効果が十分でないため、手洗いが最も重要です。
  • タオルや食器の共用を避ける:患児が使ったタオルや食器は他の家族と分け、使用後はしっかり洗浄・消毒します。
  • 汚染した衣類の洗濯:嘔吐物や便で汚れた衣服・シーツ類は他の物と分けて洗います。塩素系漂白剤の使用や熱湯消毒(難しければ高温乾燥機を使う)も有効です。

まとめ

原因 ウイルスや細菌(小児ではウイルス性が多い)
主な症状 嘔吐、下痢、腹痛、発熱、食欲低下 など
治療 対症療法が中心(水分・電解質補給が最優先されます)
必要に応じ、整腸剤や吐き気止めを使用
登園の目安 嘔吐がなくなり、元気・食欲が戻ってから
感染予防 手洗いの徹底、嘔吐物の適切な処理と消毒、タオル・おむつ処理に注意

補足

嘔吐下痢症は子どもがつらそうに見える病気ですが、水分さえしっかり摂れていれば自宅で安静にして回復を待てる場合がほとんどです。しかし「ぐったりして反応が鈍い」「水分を全く受け付けない」「半日以上尿が出ていない」などの場合は脱水が進んでいる可能性がありますので、早めに医療機関を受診してください。