子どもの病気・症状
RSウイルス感染症
RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症は乳幼児に非常に多いウイルス性の呼吸器感染症です。ほとんどの子どもが2歳までに一度は感染するといわれています。ただし何度もかかる可能性があり、生後数か月の乳児が初めて感染した場合などは重症化することもあります。
主な症状
- 鼻水、くしゃみ、せき(初期はかぜのような症状から始まります)
- 発熱(高熱になる場合もあります)
- ゼーゼーと喘鳴がする、呼吸が速くなる(呼吸数が増えたりします)
- 哺乳力・食欲の低下(ミルクの飲みが悪くなったり、食欲が落ちることがあります)
※ 多くの小児は軽症(鼻かぜ程度)で自然に回復しますが、特に乳児や基礎疾患がある子では細気管支炎や肺炎に進行し重症化することがあります。
重症化しやすいお子さん
以下の場合はRSウイルス感染症が重くなるリスクが高いため注意深い観察が必要です。
- 生後6か月未満の乳児(免疫が未熟で気道も細いため、重症化リスクが高い)
- 早産児、先天性心疾患や慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患がある児
- 母乳やミルクの飲みが悪く、脱水傾向になっている乳児
検査について
典型的な症状や流行状況から診断することもありますが、必要に応じて鼻腔ぬぐい液の迅速抗原検査で確認することもあります。
治療について
RSウイルスそのものに対する特効薬はありません。症状をやわらげる治療(対症療法)を行います。対症療法を行っても、発症から5~7日目くらいに症状がより重くなることがあります。状態によっては、入院での加療を要することもあります。
- 発熱・痛み:高熱が出ていればアセトアミノフェン等で解熱鎮痛します。
- 咳・呼吸困難感:室内を加湿し、必要に応じて鼻水をこまめに吸引します。喘鳴(ゼーゼー)が強い場合、気管支拡張薬の吸入などを行うことがあります。
- 哺乳・水分不足:水分がとれていない場合や脱水が疑われる場合は、経口補水液を飲ませます。それでも難しい場合は点滴による補液が必要になることもあります。
重症の場合
呼吸が苦しくて酸素が足りない(陥没呼吸やチアノーゼが見られる)、飲食が全くできない、といった重症例では、入院して酸素投与や点滴治療を行うことがあります。
登園・登校について
RSウイルス感染症に関して決まった登園再開の基準はありませんが、基本的には「24時間発熱がないことを確認し、全身の状態が良好」となったら、登園再開可能と判断します。
- 登園・登校の目安:発熱がなく、咳・鼻水などの症状が軽くなり、普段通り食事や活動ができること。
- 夜ぐっすり眠ることができるくらいに咳が落ち着いていることが、ひとつの登園再開の目安になるかと考えます。
- 園によってはRSウイルス感染後の登園基準を独自に設けている場合もあります。園の方針に従い、不明な場合は確認をしてください。
家庭でのケア
お子さんが少しでも楽に過ごせるよう、次の点に注意してください。
- こまめな水分補給:母乳・ミルクを飲んでいる乳児は、授乳回数を増やす・少量ずつ頻回に与えるなど工夫します。経口補水液も活用してください。
- 鼻づまりのケア:小まめに鼻水を吸引し、鼻詰まりを和らげると呼吸や哺乳が楽になります。就寝時は上半身を少し起こし気味にすると呼吸が楽です。
- 安静と寝室環境:無理に外出したり登園したりせずに、しっかりからだを休ませます。室内は適度に加湿しましょう。
- 手洗い・消毒:介護する家族も含め、手洗いやおもちゃの消毒を徹底します。特に同居の兄姉がいる場合、兄姉から乳児への感染に注意が必要です。
予防について
RSウイルスに対する一般的な予防策は以下です。
- 手洗い・マスク・消毒:基本的な感染対策として、外出後や咳をした後は石けんで手を洗い、必要時はマスクを着用します。RSウイルスはアルコール消毒も有効です。
- きょうだいからの感染に注意:保育園や幼稚園に通う兄弟姉妹から、家庭内で乳児へ感染するケースが多いです。乳児がいる家庭では、兄姉が風邪症状のある間はできるだけ接触を避けたり、兄姉にも手洗いを徹底させましょう。
- 予防的な抗体の投与:特に重症化リスクが高い乳児(早産児や心疾患のある児など)には、予防的に抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤(ニルセビマブ製剤:ベイフォータス®、パリビズマブ製剤:シナジス®)を注射することが推奨されています。また、妊娠後期の妊婦さんにワクチン接種を行い、生まれてくる赤ちゃんに移行抗体をもたせることで乳児の重症化を防ぐ新しい予防法も承認されました(RSウイルス母子免疫ワクチン:アブリスボ®は当院でも接種可能ですので、希望される方はご相談ください)。
まとめ
| 原因 | RSウイルス(主に乳幼児の呼吸器に感染するウイルス) |
|---|---|
| 症状 | 鼻水・咳・ゼーゼー・哺乳力低下 など(乳児は重症化リスクが高い) |
| 治療 | 対症療法(解熱剤、去痰薬内服、鼻吸引、吸入など症状に応じて対応) |
| 登園基準 | 解熱し全身状態が良好であること(※園の方針による違いもある) |
| 感染予防 | 手洗い・消毒の徹底、兄姉からの感染予防(家庭内感染に注意) |
補足
RSウイルスは乳幼児の代表的なかぜウイルスのひとつで、多くは軽快します。ただし生後数か月の赤ちゃんでは、細気管支炎を起こし入院が必要になることもあります。呼吸状態やミルクの飲みをよく観察し、少しでも様子がおかしければ早めに受診してください。

