赤ちゃんの○○外来

赤ちゃんのごはん外来

母乳・ミルク・離乳食の「これって普通?」を、いっしょに確かめます

「おっぱいやミルクの飲みが悪い」「離乳食がなかなか進まない」「体重は、ちゃんと増えているのだろうか」——赤ちゃんのごはんの心配は、一日に何度も向き合うことだけに、じわじわとこたえるものだと思います。

 

結論からお伝えします。迷った時点で、ご相談いただいて大丈夫です。「これは心配のいらないものですよ」とお伝えできるだけでも、翌日からの育児はずいぶん軽くなります。当院では、“確認だけ”のご相談も歓迎しています。

 

小児科医として日々赤ちゃんを診ていて感じるのは、「ごはんの悩み」の原因が、お口や胃腸ではなく、鼻・のど・耳の側にあることが少なくないということです。赤ちゃんは主に鼻で呼吸をしているため、鼻がつまるだけで、吸いながら息をするという動作が成り立たなくなります。耳が痛ければ、吸う動作そのものを嫌がります。のどが痛ければ、当然食べません。

 

当院は、耳鼻咽喉科と小児科が一つのクリニックとして診療しています。「ごはんの悩みに見えて、実は耳・鼻・のどだった」という場合も、その場で一緒に確認できます。どちらの科にかかればよいか、迷っていただく必要はありません。

こんなことで、気になっていませんか

・おっぱい・ミルクの飲みが悪い、途中でやめてしまう
・飲んでいる最中に、苦しそうに息継ぎをする/むせる
・
体重の増え方が、ゆっくりに思える
・離乳食を口に入れても出してしまう、食べる量が増えない
・食べる(飲む)のに時間がかかる、いつも汗をかいている
・よく吐く。吐く量が多くて心配
・食物アレルギーが心配で、卵や乳製品を始められずにいる
・湿疹があり、食べもののせいではないかと気になっている
・便秘がち、あるいは、うんちがゆるい日が続いている
・健診や周りのお子さんと比べて、うちの子だけ遅れているのではと感じる

ひとつでも当てはまれば、無理せずご相談いただければと思います。

「赤ちゃんのごはん外来」で診ていること

1. おっぱい・ミルクの飲みが悪い

赤ちゃんが「飲まない」とき、私たちがまず確認するのは鼻です。赤ちゃんは大人と違って主に鼻で呼吸をしているため、鼻がつまると、吸いながら息をするという動作が成り立たなくなります。「飲む → 苦しくて口を離す → 泣く → また少し飲む」を繰り返しているようなら、鼻の可能性が高いと考えます。診察で鼻の状態を確認し、必要があれば、その場で処置を行います。

 

 

 

 

そのほか、次のような原因も一緒に確認します。

  • 中耳炎:耳が痛いと、吸う動作で痛みが強まるため、飲むのを嫌がることがあります。熱がなくても起こります。
  • 口の中のトラブル:鵞口瘡(がこうそう:口の中に白いカビが増えるもの)、口内炎など。
  • 舌小帯短縮症(ぜっしょうたいたんしゅくしょう):舌の裏のすじが短く、うまく吸えないことがあります。
  • のどの炎症:のどが痛ければ、飲みたくても飲めません。
  • 全身の状態:心臓・呼吸の病気や貧血などが背景にあることもあります。

「飲まない」の一言の中に、これだけの可能性があります。原因が分かれば、多くは対処ができます。

 

2. 体重の増え方が気になる

母子健康手帳の成長曲線をご持参ください。当院でも体重をお測りし、「その子なりの線に沿って増えているか」という見方で確認します。

大切なのは「一点の数字」ではなく「線の向き」です。曲線の帯から外れていても、生まれたときからなだらかに増え続けていれば心配のいらないことが多く、逆に、帯の中にいても増え方が急に鈍ったときには、理由を探す必要があります。

飲む量が足りないのか、飲めない理由があるのか、飲んでいるのに増えない理由があるのか——分けて考えることが、最初の一歩になります。

 

3. 離乳食が進まない・食べない

離乳食は、生後5〜6か月ごろが開始の目安です。始めたばかりのころにスプーンを舌で押し戻してしまうのは、生まれつき備わっている反射(哺乳反射)の名残であることがほとんどで、「嫌がっている」わけではありません。

一方で、次のような場合は、原因を確認する価値があります。

  • 鼻がつまっている
    食べているあいだ口を閉じられないため、食事そのものが苦しくなります。
  • アデノイド・扁桃(へんとう)が大きい
    のどの奥のふくらみが大きいと、飲み込みに時間がかかり、途中で疲れてしまうことがあります。いびきや口呼吸をともなうことが多く、耳鼻咽喉科の視点が役に立つ場面です。
  • 口の中が痛い
    口内炎、手足口病、ヘルパンギーナなど。
  • 鉄が足りていない
    生後6か月を過ぎると、母乳やミルクだけでは鉄が不足しやすくなります。鉄が不足すると、食欲そのものが落ちることがあります。
  • 食形態が発達の段階と合っていない
    まだ舌でつぶせない固さのものは、食べようがありません。

 

4. 吐く・むせる

赤ちゃんは、よく吐きます。飲んだあとに口の端からタラッと出る「溢乳(いつにゅう)」は生理的なもので、機嫌がよく体重が増えていれば心配いりません。

ただし、次のような吐き方は、別の意味を持つことがあります。

  • 噴水のように勢いよく、飲むたびに吐く(生後2週〜2か月ごろ)
    胃の出口が狭くなる病気(肥厚性幽門狭窄症:ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)など、治療が必要な状態のことがあります。
  • 吐いたものが緑色
    腸の流れがどこかで滞っているサインのことがあります。
  • 激しく泣くのを繰り返し、いちごジャムのような血便が出る
    腸の一部が腸に入り込む腸重積(ちょうじゅうせき)が疑われます。時間が勝負になる病気です。

また、むせ込みが強い、飲み込むときにゴロゴロと音がする、といった場合には、飲み込み(嚥下:えんげ)の様子も含めて診察します。

 

5. 食物アレルギーが心配

「アレルギーが心配なので、卵はまだ始めていません」——よくうかがうお話です。ここは、自己判断で遅らせないほうがよい分野です。

現在は、湿疹をきちんと治したうえで、適切な時期に少量から食べ始めるほうが、その後の食物アレルギーを起こしにくいと考えられています。「食べさせないほうが安全」とは限らない、ということです。ただし、湿疹が強い場合や、以前に食べて症状が出たことがある場合は、進め方に配慮が必要です。

当院では、湿疹の治療とあわせて、ご家庭での具体的な進め方(何を、どのくらいから、どのタイミングで)をお伝えしています。より専門的な検査や食物経口負荷試験が望ましい場合には、対応可能な医療機関へのご紹介も責任をもって行います。

すでに食べて症状が出たことのある食品は、次に食べさせる前に、必ずご相談ください。

 

6. 病気のときに、食べない・飲まない

感染症を専門分野のひとつとしている立場から、ここはとくに丁寧に診ています。

赤ちゃんが急に食べなくなったとき、原因が口の中にあることは珍しくありません。手足口病やヘルパンギーナ(いわゆる夏かぜ)では、口の中にできた小さな潰瘍が痛くて飲めなくなり、そのまま脱水につながることがあります。胃腸炎のときは、「食べさせること」よりも「水分をとらせること」が優先になります。

そして、こうしたときの「何を、どのくらいのペースで飲ませるか」には、具体的なコツがあります。一度にたくさん飲ませると吐いてしまうため、少しずつ、何度も——という進め方が基本です。診察の際に、お子さんの状態に合わせてお伝えします。

 

7. うんちのこと

母乳の赤ちゃんは、1日に何回も出ることもあれば、数日出ないこともあります。回数だけでは判断できません。

うんちが固い、出すときに苦しそう、血がつく、離乳食を始めてから便秘になった——といった場合には、無理のない範囲で整える方法があります。「浣腸はくせになるのでは」というご心配もよくうかがいますので、その点もあわせてご説明します。

 

8. 栄養が足りているか心配

鉄やビタミンDなど、この時期に不足しやすい栄養素があります。とくに母乳の赤ちゃんは、生後6か月以降、鉄が不足しやすくなります。何をどう組み込むか、ご家庭で無理なく続けられる形をご提案します。

心配のいらないことが多いもの

次のようなことは、多くの場合、そのまま様子を見ていただいて大丈夫です。ただし、「そう見えて違うもの」もありますので、気になるときは確かめにいらしてください。

 

  • 溢乳
    飲んだあとに少し口から出る。機嫌がよく、体重が増えていれば問題ありません。
  • 体重の増え方がゆるやか
    赤ちゃんの体重の増え方は、生後3か月を過ぎると自然にペースが落ちます。
  • スプーンを押し出す
    離乳食を始めたころの反射です。しばらくすると自然になくなります。
  • むら食い・遊び食べ
    食べる日と食べない日があるのは、自然なことです。
  • うんちの色や回数の幅
    黄色から緑色まで、1日数回から数日に1回まで、幅があります。
  • 飲んだ直後のしゃっくり
    よくあることで、様子を見て大丈夫なことが多いです。

1歳になるまで、気をつけていただきたい食べもの

  • はちみつは、1歳になるまで与えないでください。
    加熱しても防げません。はちみつに含まれることのあるボツリヌス菌の芽胞(がほう:菌の種のようなもの)は、腸の環境が未熟な赤ちゃんの体の中で増え、乳児ボツリヌス症という重い病気を起こすことがあります。はちみつ入りの飲料・お菓子・パンなども同じです。
  • 加熱の足りない肉・卵・魚は避けてください。
    鶏肉のカンピロバクター、卵のサルモネラなど、赤ちゃんでは重くなりやすい食中毒の原因になります。中までしっかり火を通したものを。
  • 牛乳を「飲みもの」として与えるのは1歳から。
    離乳食の材料として加熱して少量使うことはできますが、飲みものとして与えると鉄が不足しやすくなります。
  • 詰まらせやすい食品に注意。
    ぶどう・ミニトマトは4等分に切ってください。粒のままのナッツ・豆類は、5歳ごろまでは避けるのが安全です。

受診の目安

今日から数日のうちに、ご相談ください

・噴水のように勢いよく吐き、体重が増えていない(とくに生後2週〜2か月ごろ)
・吐いたものが緑色をしている
・激しく泣くのを繰り返し、いちごジャムのような血便が出た
・半日以上おしっこが出ない/泣いても涙が出ない/口の中が乾いている/ぐったりしている
・飲むたびに強くむせ、顔色が変わる
・生後3か月未満で、38度以上の熱がある
・食べたあとに、じんましん・咳・くり返す嘔吐・顔色不良が出た

 

急ぎではありませんが、一度ご相談ください

・飲みが悪い日が続いている
・
体重の増え方が、以前より鈍ってきた
・離乳食が思うように進まない
・
鼻づまり・いびき・口呼吸があり、飲食に影響していそう
・アレルギーが心配で、卵などを始められずにいる
・
便秘が続いている
・
健診で「次回、様子を見ましょう」と言われたことが、気になっている

健診・予防接種のついでに、ごはんの相談も

「ごはんのことだけで受診するのは、大げさかな」と感じられる方は、少なくありません。乳児健診や予防接種でお越しの際に、ひとことお声がけいただければ、その流れでご相談をお受けします。そのためだけに、わざわざお時間をつくっていただく必要はありません。

受診の流れ

予約は不要です。
通常の外来の中で診察いたします。受付で「ごはんのことで」とお伝えください。

母子健康手帳をお持ちください。
生まれたときからの体重の記録は、いちばん役に立つ情報です。

記録は、あるままの形で大丈夫です。
授乳の回数や量、離乳食の内容、うんちの様子など、メモでもスマートフォンの写真でも構いません。「昨日食べたもの」の一枚の写真が、判断につながることもあります。

必要に応じて、耳・鼻・のども診察します。
小児科と耳鼻咽喉科のどちらにかかればよいか迷われる場合も、当院内で判断いたしますので、そのままお越しいただいて大丈夫です。

よくあるご質問

  1. ミルクを足したほうがいいのか分かりません。相談だけでも受診していいですか?
    もちろんです。「足す・足さない」は、体重の増え方、飲んでいる回数、赤ちゃんの様子を合わせて考えるもので、一律の正解はありません。母子健康手帳をお持ちいただければ、いっしょに考えます。
  2. 鼻がつまっているだけなら、家で吸ってあげれば十分ですか?
    ご家庭の鼻吸い器で楽になるようなら、それで十分です。ただ、飲む量が減る、眠れない、といった様子があれば、一度受診をおすすめします。奥のほうは家庭用の器具では届きにくく、当院の処置で楽になることがあります。あわせて、中耳炎になっていないかも確認できます。
  3. 卵は、いつから始めればいいですか?
    現在は、湿疹を治療したうえで、生後6か月ごろから、しっかり加熱した卵黄をごく少量から——という進め方が一般的です。ただし、湿疹の状態やこれまでの経過によって、おすすめする進め方は変わります。「うちの子の場合はどうか」を診察でご説明しますので、始める前にご相談ください。
  4. 熱もないのに食べません。様子を見ていて大丈夫でしょうか?
    水分がとれていて機嫌がよければ、1〜2日食べない日があっても、あわてる必要はありません。ただ、口の中の痛み、鼻づまり、中耳炎など、「食べない理由」が見つかることもあります。原因が分かれば対処ができますので、続くようであれば一度お越しください。

当院が「赤ちゃんのごはん外来」を大切にしている理由

ごはんの悩みは、赤ちゃんの毎日に直結するテーマであるにもかかわらず、「病気」という形をとらないために、相談先が見つかりにくい分野です。「体重が増えない」で受診してよいのだろうか——迷われるのも、当然だと思います。

 

けれども、飲めない・食べないの背景には、鼻づまり、中耳炎、口の中の痛み、のどの奥のふくらみ、鉄の不足、アレルギー、消化管の病気——さまざまな理由が隠れています。そして、そのいくつかは、耳鼻咽喉科の視点がなければ見つかりません。

 

当院は、耳鼻咽喉科と小児科を一つのクリニックとして診療しています。
「大げさかな」と思ったときこそ、どうぞご相談ください。何もなければ、それがいちばんの結果です。

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