赤ちゃんの○○外来
赤ちゃんの おむつかぶれ 外来
「こまめに替えているのに、よくならない」「おむつを替えるたびに真っ赤で、見るのがつらい」——おむつかぶれは、赤ちゃんの時期にとてもよくあるトラブルです。
そしてよくあることだからこそ、「うちのケアが足りないのかな」とご自身を責めてしまう保護者の方が少なくありません。
先にお伝えします。おむつかぶれは、お世話が足りないから起こるのではありません。赤ちゃんの皮膚は大人の半分ほどの薄さしかなく、そこに一日十数回の排泄と蒸れ、こすれが休みなく重なります。かぶれる条件が、もともとそろっている場所なのです。とくに下痢の便は、含まれる消化酵素(食べものを溶かす成分)が皮膚に影響してしまい、たった一日で真っ赤になることもあります。
おむつかぶれの診察でいちばん大切にしているのは、「本当に、ただのかぶれなのか」を見きわめることです。おむつの中の赤みには、見た目がよく似ていて、治し方のまったく違うものがいくつもあるからです。
こんな様子はありませんか?
- おしりが赤い、ヒリヒリして見える
- おむつ替えやおしりを拭くときに、激しく泣く
- 皮膚がめくれている、じゅくじゅくしている
- しわの奥まで赤い/赤みのまわりに小さなブツブツが散っている
- 塗り薬を使っているのに、よくならない・かえって広がった
- 下痢が続いていて、おしりのケアが追いつかない
- 肛門のわきに、硬いしこりや赤い腫れがある
- 熱があって、おしりも赤い
一つでも当てはまれば、受診の理由として十分です。とくに、じゅくじゅく・激しい痛み・しこり・発熱があるときや、塗り薬でかえって悪化しているときは、数日以内の受診をおすすめします。
「これくらいで受診していいのかな」と迷う段階こそ、いちばん治りやすい段階です。
おむつの中の「赤み」は、一つではありません
ふつうのおむつかぶれは、おむつが直接あたる“出っぱった面”が赤くなり、しわの奥は白く残るのが典型です。
スキンケアと塗り薬で、多くは数日〜1週間ほどで落ち着きます。
一方で、「塗っているのに治らない」ときにいちばん多いのが、カンジダというカビの仲間による赤みです。こちらは逆に、しわの奥まで赤くなり、まわりに小さなブツブツが飛び火のように散るのが特徴です。
おむつかぶれに使われるステロイドの塗り薬は、カンジダには効かないどころか、広げてしまうことがあります。必要なのはカビに対するお薬——まったく別のお薬です。市販薬を重ねる前に、一度そのままの状態でお見せください。
このほか、水ぶくれやかさぶたが広がる「とびひ」、肛門のわきが腫れる「肛門周囲膿瘍(のうよう)」など、かぶれのケアでは治らないものもあります。同じ赤みでも、出ている場所と広がり方に意味があります。
おしりの赤みは、のどや口とつながっていることがあります
「耳鼻科のあるクリニックで、おしりを診てもらえるの?」と思われるかもしれません。じつは、ここからが当院らしいお話です。
たとえば、肛門のまわりだけがくっきり真っ赤なとき。のどの痛みで知られる溶連菌(ようれんきん)が、皮膚で悪さをしていることがあります。夏に多い手足口病では、おしりの発疹と口の中のただれが同時に出て、痛くて飲めなくなることがあります。
また、数日続く熱とおむつ部分の赤みが重なるときは、川崎病という病気の手がかりのこともあり、かぶれとして様子を見ないでいただきたい状況です。
もう一つ、よくいただくのが「中耳炎のお薬を飲み始めたら、おしりが真っ赤になった」というご相談です。抗菌薬(抗生物質)で腸内の菌のバランスが変わって下痢になり、かぶれるのです。このとき薬を続けるか、変えるかは、耳の状態を見なければ決められません。当院なら、鼓膜とおしりを同じ日に、同じ場所で確認できます。
おしりだけを見ていても、答えが出ないことがある——だからこそ当院では、口の中・のど・耳・全身まで、一度の受診でまとめて確認しています。耳鼻咽喉科と小児科が一つのクリニックだからできる診かたです。
ご自宅でできること
合言葉は「こすらない・ぬれたままにしない」です。よかれと思って一生懸命拭くほど、荒れてしまうことがあります。
- うんちのあとは、拭くより流す——ぬるま湯を入れた空のペットボトルや霧吹きで洗い流すのが、いちばん肌にやさしい方法です。
- おしりふきは、こすらず「押さえる」ように使う
- 少し乾かしてから、おむつを閉じる——うちわや手であおぐだけで十分です。
- ワセリンなどの保護剤を「白く見えるくらい」しっかりのせる——うんちから肌を守るレインコートの役割です。
- 市販の塗り薬を重ねない——原因が違えば必要な薬も違い、重ねるほど診断も難しくなります。
受診の際は、いつからか・うんちの回数とかたさ・使っている塗り薬やおしりふき・飲んでいるお薬を、分かる範囲で教えてください。「いちばんひどかったとき」の写真をスマートホンで撮っておくと、とても役立ちます。
「ついで」でも構いません
かぜ症状での受診でも「ついでにおしりも見てもらえますか」のひとことで、その場で確認できます。上のお子さんの鼻水や中耳炎の受診のついでに、下のお子さんのおしりを診ることもできます。おしりのためだけに、わざわざ来院していただく必要はありません。
よくあるご質問
Q1 おむつかぶれは、皮膚科に行ったほうがいいですか?
A1 赤ちゃんのおむつかぶれの多くは、小児科で対応できます。下痢や感染症、飲んでいるお薬など「全身のこと」と結びついていることが多いからです。専門的な皮膚科治療が必要と判断した場合は、責任をもってご紹介します。
Q2 市販の薬を使ってもいいですか?
A2 ワセリンなどの保護剤は、予防にもお使いいただけます。ただしステロイド入りの薬は、カンジダが原因の場合に悪化させることがあります。数日使って良くならないときは、薬を重ねずにご相談ください。
Q3 どのくらいで良くなりますか?
A3 ふつうのおむつかぶれなら、数日〜1週間ほどで良くなってくることが多いです。逆に、1週間続けても変わらないときは、別の原因を考えます。
Q4 受診に予約は必要ですか?
A4 予約は不要です。通常の外来の中でそのまま診察しますので、いつもの受付でお声がけください。「小児科と耳鼻咽喉科、どちらにかかればいいか分からない」場合も、当院内で判断しますので、そのままお越しください。
赤ちゃんのおしりのことも、当院にご相談ください
赤くただれたおしりを一日に何度も目にすること、泣かれながらおむつを替えること——おむつかぶれは、命に関わらないぶん、保護者の方の心をじわじわ消耗させるトラブルだと感じています。
ふつうのかぶれなのか、別の原因があるのか。それが分かるだけで、毎日のケアはぐっと楽になります。
「大げさかな」と思う前に、些細なことでもお気軽にご相談ください。“確認だけ”の受診も、どうぞ遠慮なさらないでください。

