適切な補聴器で
聴こえるに
より添う。
専門医と言語聴覚士が関わる
耳鼻咽喉科の適切な補聴器提案
はじめに
聴覚障害を助ける
補聴器を正しく
身近に。
超高齢社会を迎えて、聴覚障害(聞こえづらい、聞き取りにくい、聞こえないなど)がある高齢者数は増加の一途を辿っています。WHO(世界保健機構)が示した高齢者のQOL(生活の質)に影響する10大疾病において、難聴はその7番目に挙げられています。2017年に厚生労働省が加齢、高血圧、糖尿病、喫煙、頭部外傷などと共に難聴が認知症の危険因子と報告しました。また、2020年に世界的に権威のある医学誌ランセットが「認知症の40%は修正可能である12の要因により起こると考えられ、そのなかで認知症の最大の危険因子は難聴である」と発表しました。
このように聴覚障害は、単に聞こえが悪いことにより本人や周囲の人たちが不便を被るというだけでなく、脳機能にもかかわる重大な問題であり、これを社会的な観点から捉えて、早期に医学的・社会的に介入をすることが求められている疾患です。
このような難聴患者様の聞き取りを改善する手段として、補聴器は非常に有効です。しかし残念ながら、補聴器に対する一般の方々のイメージは決して良いものではありません。これには、補聴器を付けると年寄り臭く見えるといった審美的な理由も関係しているのでしょうが、なにより、補聴器は役に立たないという印象が巷間に広まっていることが大きな原因です。補聴器は装用してもただうるさいだけだとか、雑音やハウリング(補聴器からピーピー音がすること)がひどいといった負のイメージが定着してしまっていると言っても過言ではありません。
適切な
補聴器の装着を
手助けします。
その背景には、わが国では医師の介入なしに、販売店が直接補聴器を販売しているという実情があります。はては通信販売も存在するのが現状です。医師が正しい診断を下し、中には補聴器を使わなくても治療を行えば治る場合も多々あります。また医師の指導のもと補聴器が使われるのではなく、およそ医療と無関係なところで補聴器販売が行われていることには問題があります。
このような問題点を解決すべく、当院では、日本耳鼻咽喉科学会が認定した耳鼻咽喉科専門医と補聴器相談医の資格をもった医師が常駐しており、補聴器適合判定医師研修会を終了した医師しかできない補聴器適合検査を行う事ができます。また、聴覚に関する国家資格を有する言語聴覚士が関わっていきます。医師や言語聴覚士が関わらず補聴器を販売している場合と比較して、その補聴器が難聴の方に有効かどうかという事が客観的に分かります。当院では有効になるように補聴器を調整していきますし、有効でなければ補聴器をお勧めすることはいたしません。難聴の種類や程度はその人によって様々ですので、適切な補聴器を上手に装着していただけるように手助けをしたいと考えています。
補聴器外来
受診の流れ
専門医、国家資格を持つ専任スタッフがいる
くさの耳鼻咽喉科・小児科にご相談ください。
01
耳鼻科へ
聴こえに困りを感じたらすぐに耳鼻科を受診しましょう。(早期に治療を開始すると治る病気があります。)
02
診察・診断
診察および必要な検査を行い、正しい診断を行います。診断の上で「03:治療」がいいか補聴器の装着がよいか「04:医師による適応の判断」をいたします。
03
治療
治療を行えば改善する可能性がある病気の場合は耳鼻科的な治療を優先します。(補聴器を装着しなくても治療で難聴が改善する病気があります。)
04
医師による適応の判断
診断の結果で補聴器を装着した方がよい場合は補聴器をお勧めします。
05
補聴器外来の予約
補聴器外来の予約を取りましょう。
06
補聴器外来
初回
患者様のきこえに合わせて補聴器を調整し、お試ししていただきます。補聴器の貸出をおこないます。
2回目
補聴器の使用状況の確認と補聴器の効果を確認します。次回1~2週間後に補聴器外来の予約をします。
3回目以降
使用状況と効果を確認します。補聴器の効果が十分にあり、患者様が希望されれば、機種を決定し購入していただきます。
07
アフターフォロー
使用状況や補聴器の状態の確認、点検、掃除を行います。
補聴器の
正しい選び方
補聴器の種類と特徴および価格のご案内です。
ご不明な点はお気軽にご相談ください。
耳かけ型
¥90,000~¥450,000(片耳)
¥150,000~¥800,000(両耳)
耳にかけて使うタイプです。耳穴型に比べ、ボタンが大きく操作しやすいです。小さく目立ちにくいもの、広範囲の聴力に適応したもの、ハウリング(「ピーピー」という音)が少ないものもあります。
耳あな型
¥110,000~450,000(片耳)
¥200,000~800,000(両耳)
耳あなの中に入れるだけなので装着は簡単です。つけていることが目立ちにくいです。耳の形状と聞こえの程度に合わせて作るオーダーメイドの補聴器です。耳本来が持つ機能(耳介の集音機能)を活かすことが出来ます。
ポケット型
約¥30,000~90,000
本体とイヤホンをコードでつなぐタイプです。スイッチやボリュームが比較的大きく、操作が簡単です。幅広い聴力に対応出来ます。
どのタイプが適しているかは患者様の相談内容をお聞きした上で一緒に考えていきます。
当院以外で購入された補聴器に関しまして、
ご相談や補聴器の調整は承りかねますので、ご了承をお願いします。
聴こえるを
大切に。
補聴器を
身近に。
医師・スタッフ紹介
補聴器外来の医師・スタッフを
ご紹介いたします。
当院は4名のスタッフで
補聴器外来を行っております。
補聴器外来にお越しになった際は、
気軽にご相談ください。
今より楽しい、安心できる生活を
一緒に目指しましょう!
施設紹介
補聴器外来室
患者様の要望や困り感・補聴器に対する考えななどを聞かせていただきます。
聴力検査室
補聴器装用に必要な聞こえの検査を行うための防音の部屋です。
聴力検査や補聴器の調整に必要な機械
聞こえの検査を行う機械、補聴器を調整するための機械、補聴器の効果を測定する機械です。
よくあるご質問
補聴器の基本的機能は、音を大きくすることです。
補聴器内の小型マイクロホンに入った音を大きくして小型イヤホンから出力します。
難聴には多くの原因がありますが、代表的な加齢による難聴(老年性難聴)では内耳の感覚細胞が壊れて神経も減少するなど、難聴は体の病気です。
補聴器は病気である難聴によるコミュニケーション障害を補うためのリハビリテーション用の機器で、体に着けるものですから、当然のこととして医療機器です。
補聴器に関連する医療上の問題には、音響外傷による難聴の進行、補聴器による耳周囲の外傷や炎症、補聴器作成のための耳型取りの時の異物など、防がなければならない危険があります。
また、一人一人の聴力に合わせて調整することでその人が最も会話を理解しやすいように調整することが必要です。これは難聴の治療の一環になりますので、効果を発揮し医療事故を未然に防ぐため、補聴器は医療用機器として製造や販売に厳しい規制が設けられています。
集音器は会話を聞くための機器ではありません(難聴の人が会話を聞くために使う携帯用の機器は補聴器とすることが薬事法で決められています。同じ目的のために使う機器に別の名前を付けることは違法または脱法行為です)。
補聴器には医療機器として、難聴者の安全を守り効果があがるための様々な規制があります。
集音器は医療機器としての管理や規制を受けていませんから、会話を聞くために集音器を使うことには様々な問題があり、以前に国民生活センターで集音器の音響検査と難聴者が使用することについて調査した結果でも証明されました。当院および日本聴覚医学会は集音器を難聴者が会話を聞くために使うことに反対です。
補聴器を装用すれば話し声だけではなく、今まで気づかなかった音も聞こえますから、会話をするときに周囲の騒音次第では今まで以上に聞き取りにくいことがあります。
効果的に聞こえるようになるには、ある程度の期間、トレーニングが必要です。
聞き取りにくいようなときは、正面からゆっくり・はっきりと話しかけてもらってください。
補聴器の活用には工夫も大切です。
聞こえの不自由さに個人差があるように、補聴器を使用した場合の効果にも個人差があります。
また、聞こえを補う機能にもある程度の限界があります。
しかし、総じて使用前に比べて、聞こえが良くなったと喜ばれています。
大事なことは、使用して良い点を見出すことです。
まず始めに、一般的な健康状態やライフスタイル、聞こえにくくてお困りの場面について、いくつかお尋ねします。次に、補聴器が装用できる状態かどうか、耳の中を確認します。そして補聴器の正確な調整の為、聴力を測定します。
補聴器の調整は、徐々に進めていきます。初めは自宅のさまざまな聞き取り環境で、1日に数回、1時間ずつ、新しい補聴器を装用します。新しい補聴器を着けて家を出る準備ができたら、静かな環境に行ってみましょう。最初は大勢の人や騒々しい場所を避け、異なる環境では徐々に装用してください。多くの場合、最初の段階は補聴器の音は弱めに調整されています。そのため、音の慣れに応じて徐々に補聴器の音を上げる必要があります。負担なく徐々に上げていき、補聴器として本当に活用できるようになるまでには、概ね3か月程度はかかると思ってください。
はい。異なる聞き取り環境でどのように聞こえるかを、補聴器購入前にお試しいただけます。長期間のお試しには費用がかかる場合があります。お試し期間と費用については当院へお尋ねください。
聞こえが遠くなると、音の弱い静かな状態に耳が慣れてしまいます。
そのため補聴器も使いはじめはうるさく感じる人もいますので、段階的な調整が必要です。
不快な大きな音は調整機能で抑制することができます。
補聴器から聞こえる雑音は、実は今までに聞こえなかった周囲の雑音です。
(残念ながら)補聴器は聞きたい音だけを拾うことができないため、ざわついた場所では人の声と一緒に雑音も多くなります(俳句をなさる方から自然の音が聞けて楽しいという声も)。
最近は一部に騒音を抑えられる機種もあります。
聞きたい方向の音を自動的に選べる機能のあるタイプなら、より快適に使用できます。
聞きたい音を増幅してくれる補聴器ですが、使用中に音の漏れがあるとピィーッという音(ハウリング)が発生します。
最近ではハウリングを軽減する機能を搭載した機種もあります。
使用する前には、常に耳あなに入れてからスイッチを入れ、ピッタリと装着するようにしてください。
最近の補聴器の耐久年数は一般的に、約5年と言われていますが、正しいお手入れと定期的なメンテナンスで、それ以上長持ちする場合もあります。
私たちの耳は音を聞き取るために左右一体となって働くようにできており、これを両耳聴と言います。両耳聴は会話をはっきりと理解したり、音の方向を認識したり、騒がしい環境での聞き取りを助けたりします。実際に片耳と両耳に補聴器を試して、両耳に補聴器をしたほうが良いようであれば、経済的な面も考慮して両耳装用を検討してください。両耳に装用をすることによってメリットがあるかどうかは、最終的には実際に補聴器を装用される方に判断していただくことが良いかと思います。
現代の補聴器は非常に小さく、装用するとほとんど見えません。補聴器表面は、あなたの肌の色や好みに合うように、さまざまな形状や色があります。
必ずご自分で、出来れば家族の方もご一緒に足を運び、納得のいくまで医師、言語聴覚士、当院スタッフにご相談ください。
難聴の状況はひとり一人違い、補聴器を使用する目的も違います。
一番重要なことは、きちんと自分の聞こえに合わせることです。
補聴器を購入することは、将来の健康と幸福に対する大きな投資です。補聴器をインターネットで購入すると、個別の要望に応じた調整ができません。そして、不快で非効率な補聴器を持つリスクを負うことになり、最終的には着用する可能性が低くなります。補聴器販売店で購入するということは、難聴の程度や要望に合わせて調整された補聴器を入手するだけでなく、難聴が進んだ場合にも対応可能です。当院では耳鼻咽喉科専門医と補聴器相談医の資格をもった医師が補聴器適合判定を行い、補聴器を販売しています。
通信販売の補聴器が低価格である理由として、機能が単純な通信販売用の補聴器が売られています。そして、補聴器は使う人の聴力に合わせて機器を選び調整するものですが、何の調整もせず、アフターケアもありません。
さらに、難聴者の状態を質問して確かめたり、適合するための店舗がありません。また、薬事法で定めた安全管理者に補聴器の問題を難聴者が連絡する方法もありません。悪く言うと、売りっぱなしにしていますから低価格なのです。通信販売で購入してもどうしても役立たなかったり、役立つものを使いこなせないことが多くなります。
補聴器は単に音を大きくする(増幅)だけではありません。周波数によって増幅度を変えることができます。入力音の大きさによっても、増幅度を変えることができます。入力音が雑音か音声かを瞬時に判断して、雑音の増幅を抑えることもできます。このような機能はすべての補聴器に備わっているものではありませんし、すべての難聴者に必要な機能でもありません。一般的に、たくさんの機能が備わっている補聴器は高価格になります。
形が小さいほど精密に作ることが必要ですから、制作費が高くなります。
とくに小さい耳あな型は、本人の耳の形に合わせるために正確な加工が必要で高価格になります。また、補聴器にはいろいろな機能があり、多くの機能が付いているものが高くなっています。
一般的な健康保険は対象となりませんが、聴覚障害で身体障害者手帳を持っている場合、難聴の程度に応じて補聴器の支給が受けられます。
また、佐賀県であれば、軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成が用意されている場合もあります。※不明な点がありましたら、お住まいの市役所・町役場の障害福祉担当課または佐賀県障害福祉課へお尋ねください。
医師の話が聞こえないなど、医師による治療を受けるうえで補聴器が必要とされて購入した場合は、控除の対象となる場合があります。確定申告の際には、補聴器代金の領収書の他に、治療の対象となる疾病名や、治療を必要とする症状であることが記載されている処方箋が必要となります。詳しくはお近くの税務署へお尋ねください。
難聴でお困りの方は、あなただけではありません。世界中で約4億6600万の人々が、聴覚障害を抱えています。 (World Health Organization, 2019)
補聴器の取り扱い
補聴器の取り扱いと注意点
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就寝前に補聴器の電源を切ります。夜間に電池ケースを開けたままにしておくことで内部を乾燥させることができます。
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補聴器はやさしく取り扱ってください。補聴器を床に落としたり、硬い物にぶつけたりした場合は、当院にて損傷していないことを確認します。
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補聴器を過度に熱い場所や寒い場所に放置しないでください。
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ヘアスプレー、スプレー式の香水、シェービングローションなどを使用する前に、補聴器を外してください。
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補聴器を絶対に水に浸さないでください。水滴や湿気は大敵です。例えば、サウナ、シャワー、または水泳中は、補聴器を外してください。補聴器が濡れた時は、乾燥ケースで乾燥させてください。過度に濡れてしまった場合やそれでも改善しない場合は、当院にご相談ください。
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子どもやペットの手の届かないところに置いてください。電池を誤って飲み込むととても危険です。電池を誤って飲み込んだ場合は、ただちに人であれば医療機関へ、ペットであれば獣医へご相談ください。
補聴器のお手入れについて
乾いた、柔らかい布を使用して、補聴器を拭きます。アルコールや溶剤の使用は避けてください。耳かけ型補聴器の場合、チューブと耳せんを掃除します。耳せんに耳垢が詰まっていたり、イヤーモールドが拭き取りにくい場合は、当院へご相談ください。
補聴器の電池について
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補聴器の電池の購入
補聴器の電池は、当院や補聴器販売店、電器店、インターネット等で購入することができます。
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補聴器用電池のサイズ
補聴器の電池は4つのサイズがあり、補聴器の形状やサイズによって異なります。補聴器業界では、視認しやすいように電池の包装を色分けして番号を付けています(10黄、13橙、312茶、675青)。電池の背面にあるシールも色分けされています。通常は、小さい電池は、より大きな電池よりも電池寿命が短くなります。
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補聴器の電池の保管について
最適な電力を保持するために、室温18°C〜26°Cの場所で保管してください。暑い場所や湿気の多い場所、冷蔵庫の中では保管しないでください。湿気がこもるのを防ぎ、電力消費を節約するために、就寝時は補聴器の電池ケースを開けてください。
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補聴器の電池の有効期間と電池寿命
未開封の電池の有効期間は3年ですが、一度使用した電池の寿命は、補聴器の形状とその使用量によって異なります。高度な機能を備えたデジタル補聴器の中には、アナログ補聴器よりも多くの電力が必要なものもあります。一般的な電池寿命は、デジタル補聴器の場合5~7日間です。電池寿命が短くなった場合は、当院にご相談ください。
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補聴器の電池寿命を最大化するために
熱や湿気で電池寿命が短くなるので、電池は室温18°C~26°Cの場所に保管してください。小銭や鍵など、金属製のものに接触する可能性があるポケットやハンドバックには、電池を直接入れないでください。電池をショートさせる可能性があります。最適な性能と電池寿命を延ばすために、補聴器を使用していないときは電源を切って電池ケースを開けてください。
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補聴器の電池を捨てる時
使用済みの電池は環境に有害なので、お住まいの市町村の指示に従って処分してください。
アクセス
医療法人ファースト
くさの耳鼻咽喉科・小児科
〒843-0001 佐賀県武雄市朝日町大字甘久1287(メリーランド武雄内)
TEL / FAX:0954-23-33330954-23-3333
・JR佐世保線「高橋駅」から徒歩約9分
・長崎自動車道「武雄北方」インタ-から車で約2分
メリーランド武雄という複数の商業施設とアミューズメント施設が融合した敷地内(ファッションセンターしまむら様の隣)に位置していますので、診療の合間や診療の前後に周囲の施設で買い物などをすませることができます。
※駐車場は500台ございます。