舌下免疫療法のご案内

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2014年10月にシダトレンが発売され、当院では74名の患者様が舌下免疫療法を開始されました。2017年3月現在、55名の患者様が治療を継続されています。重い副作用もなく、安全に治療を行って頂いています。

2017年春のスギ花粉飛散時期では、約80%の方の症状が軽減しています。

シダトレンによる舌下免疫療法は、少なくとも3年は継続しないといけませんが、治療を開始して2、3ヵ月でも効果が現れてきます。ですので、11月までに舌下免疫療法を開始すれば、来年2月のスギ花粉症時期に効果が現れる可能性があるということです。ただし、治療期間が長い方が(言い換えますと、早い時期に治療を開始した方が)、来年のスギ花粉症を楽に過ごせる可能性がより高まります。

毎年、スギ花粉症に悩まれている方は日本人の4人に1人いらっしゃいます。シダトレンによる舌下免疫療法を思いきって開始されてみませんか!早めの開始がお勧めです!

くさの耳鼻咽喉科 院長 草野謙一郎
<参考資料>
大久保公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科・教授), スギ花粉症の免疫療法の治療効果をどのように評価するか, infoAllergy, 2015;Jun, 4.
大久保公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科・教授), 舌下免疫療法がわかる本, 2014年1月10日1版.
岡本美孝(千葉大学耳鼻咽喉科・教授), アレルギー性鼻炎における舌下免疫療法, ドクターサロン, 58巻10月号, 39-42.
新たな治療開始は6/1から11/30までです。
12/1から5/31までは安全性の観点から新たに治療開始する事は致しません。

舌下免疫療法のご案内

シダトレン

舌下免疫療法の治療薬シダトレン

舌下免疫療法の治療薬シダトレンが発売される以前に266人の方がこの治療を受けられています。まずは、その国内臨床試験結果を簡単にご紹介したいと思います。

シダトレンによる舌下免疫療法を約2年間行うと、
【1】約6割の人が花粉症の症状が軽くなり、
【2】約2割の人が完解する(症状がほとんど出なくなる)
と報告されています。
逆を言うと、約2割の方は残念ですが、効果が出ないということです。
治療方法は、3~5年間、毎日、舌の下に液体を落とさなければなりません。また、この266人に重篤な副作用はみられていませんが、今後、命にかかわるよう なショックが絶対生じないとは断定はできません。

ですので、舌下免疫療法を受ける上で、
【3】約2割の方は効果が出ない
【4】少なくとも3年間、毎日、舌の下に液体を落とさなければならない
【5】命にかかわるような副作用が絶対生じないとは言えない
少なくともこの3つをよく理解していただい方に舌下免疫療法を開始していただきたいと思います。

上記、ご理解がいただけました方は、以下に舌下免疫療法を詳しくご紹介しますのでご覧ください。

花粉症治療の種類

対症療法

治療法特色効果

薬物療法

初期療法 花粉飛散前に薬を使い始めることで花粉飛散期の症状を軽くすることができます。 ①症状の出現を遅らせることができます。
②飛散量の多い時期の症状を軽くできます。
③併用する薬の量や回数を少なくできます。
導入療法・維持療法 花粉飛散後に薬を使い始めることで症状を軽くします。花粉症の大半の方がこの治療法です。 症状を軽くできます。ただし、眠気などの副作用が出る場合があります。

手術治療

レーザー治療 出力の弱いレーザーをお鼻の中の粘膜に照射することにより、粘膜の腫れ、むくみをとり、花粉に過敏になった粘膜の感受性を低下させる治療法です。 症状に大幅な改善が見られます。 ただし、お薬の効き方が人によって異なるように、レーザー治療の効果や持続期間も人によって異なります。また、粘膜が元に戻った場合、花粉症の症状が再び出現します。

根治治療

治療法 特色 効果

原因抗原の回避

日常生活において、アレルギーを起こす物質から回避することで症状を軽くします。 こまめに実行することで症状をかなり軽くすることができます。ただし、日常生活の様式をかえる必要があるので徹底することが難しいことが多いです。

アレルゲン免疫療法

皮下免疫療法/舌下免疫療法
花粉に対して免疫をつける治療法であるため、他の治療法と比較した場合、長期的にわたって治癒が期待できる治療法です。 体質の改善により、症状が見られなくなることもあります。ただし、治療期間が長くなり、重篤な副作用を引き起こす可能性が低いですがあります。(詳細は後に記載します)

アレルゲン免疫療法の種類

アレルゲン免疫療法は根本的な体質改善を期待する治療法です。花粉症を根治する可能性があります。

【皮下免疫療法】

日本では1963年にアレルゲンエキスが開発されて以降、皮下注射によるアレルゲン免疫療法(皮下免疫療法)が行われてきました。アレルギーを引き起こす原因となる物質であるスギのエキスを少しずつ皮下注射にて体内に入れて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です。(ただし、効果発現のメカニズムは十分に解明されていません。)通常、治療期間は3~5年にわたります。皮下注射を1000回~4000回すると1回の割合でショックが起きます。

【舌下免疫療法】

日本では2010年からスギ花粉症に対する舌下免疫療法の臨床試験が行われ、有効性が確認されました。そのため、2014年10月に保険診療が開始されます。
アレルギーを引き起こす原因となる物質であるスギの液体エキスを少しずつ舌下より体内に吸収させて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です 。(ただし、効果発現のメカニズムは十分に解明されていません。)

皮下免疫療法と同様に、3~5年かけて体質の改善を図る必要性があります。 (舌下免疫療法をやめた後、どれくらい効果が続くかは、治療期間の長さに関係すると言われています。ですので、舌下免疫療法を長く行えば、それだけ長く効くというこことです。)毎日、スギのエキスを舌下に含みます。低濃度のエキスを少量から投与し、少しずつ増量し、高濃度に移行します。3週目以降は同量のスギのエキスを毎日舌下に含んでいただきます。通常、治療期間は3~5年にわたります。

舌下免疫療法による効果

  • ●くしゃみ・鼻水・鼻づまりが、軽くなる、もしくは消失する
  • ●目のかゆみ・涙目が、軽くなる、もしくは消失する
  • ●花粉飛散期のアレルギー治療薬を、あまりもしくは全く使わなくてすむ
  • ●花粉の時期に生活がしやすくなる。(QOLの改善)
比べてみました
このような患者様にお勧めします

治療にあたり、ご注意いただきたい事柄

スギ花粉の治療法であるため、その他のアレルギーでは効果が期待できません。

投与するエキスはスギ花粉症専用です。 ハウスダスト、ダニ、ヒノキ、カモガヤ…など、
その他のアレルギー物質では効果は望めません。

スギ以外にもアレルギーがあり、スギ以外のアレルギー原因物質に対する
抗体値(特異的IgE抗体値)が高い患者様に有効かは不明です。
(臨床試験では、そのような患者様は除外されましたためです。)

治療不可

治療を受けることができません。

  • スギ以外のアレルギー性鼻炎の方
    (必ず、採血検査でスギ花粉症かを確認しなければなりません。)
  • 12歳未満の方
  • 重度の気管支喘息の方
注意が必要

治療に際して注意が必要です。

  • アレルゲンを使った治療や検査、またはスギ花粉を含んだ食べ物によって
    アレルギー症状を起こしたことがある方
  • 気管支喘息の方
  • 悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方
  • 65歳以上の高齢の方
  • 妊婦中の方、授乳中の方
  • 抜歯や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
  • 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
  • ステロイドの内服薬や注射薬の投与を受けている方
  • 他に服用中のお薬がある方(非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬)

▼非選択性β遮断薬
ハイパジール、ナディック、インデラル、ミケラン、ミケランLA、カルビスケン、アイデイトロール、ソラシロール、プロプラノロール塩酸塩、カルテオロール塩酸塩、カルノノン、チオグール、チスタロール、ベタメノール、メルカトア、ピチオロール、ビリンガル、ピンドロール、レットリット、ブロクリンL

▼三環系抗うつ薬
アナフラニール、ノリトレン、トリプタノール、アモキサン、トフラニール、スルモンチール、アンプリット、プロチアデン、ノーマルン、イミドール

▼モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)
エフピー、イスコチン、ヒドラ、ネオイスコチン、ザイボックス、セレギリン塩酸塩、イソニアジド、塩酸プロカルバジン

副作用について

軽い副作用
  • 舌の下のはれ
  • 口の中のはれ
  • 口内炎
  • 口の中や、のどのかゆみ
  • 耳、鼻、目、皮膚のかゆみ
  • 頭痛
  • くしゃみ・鼻水・鼻づまり
  • 耳やのどや違和感
上記のような副作用が出た日は、経過を観察し、症状が治まらない場合は翌日受診してください。
重い副作用
  • シダトレンを使った舌下免疫療法では、アナフィラキシーショックの報告は未だありませんが、可能性として完全に否定はできません。
  • シダトレン以外の薬剤を使った舌下免疫療法では、約1億回投与して1回の割合でアナフィラキシーショックが報告されていますが、アナフィラキシーショックで死亡した報告はありません。(仮にアナフィラキシーショックになったとしても命に別状はなかったということです。)

<参考> 舌下免疫療法ではなく、注射で行う皮下免疫療法では、アナフィラキシーショックや、アナフィラキシーショックで死亡したような重い副作用の報告は、かなりまれですがあります。

下のような副作用が出たときは、アナフィラキシーショックの可能性がありますので、直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。

●突然のショック症状(意識が遠くなる、呼びかけても返事がない、脈が早くなる、不整脈、血圧低下)
●呼吸器の症状(声がかれる、胸がしめつけられる、呼吸がしづらい、呼吸がゼーゼー・ヒューヒューする、顔や唇が蒼くなる)
●皮膚症状(全身が赤らむ、顔がはれる、蕁麻疹など)
●目の症状(よく見えない、視野が狭くなった)
●胃痛が続く、嘔吐が続く

舌下免疫療法の具体的な治療方法

開始時期

安全性の観点から、スギ花粉の飛散が始まる直前や飛散時期に治療をすることができません。

治療は6月~11月の間にスタートします。(12月から5月は治療開始できません)

新たな治療開始は6/1から11/30までです。
12/1から5/31までは安全性の観点から新たに治療開始する事は致しません。

毎日投与

スギ花粉が飛んでいないシーズンも毎日投与していただく必要性があります。

継続期間

最低でも3年以上は治療を継続してください。通常、治療期間は3~5年です。

2015年9月までは2週間に一度の通院が必要です。2015年10月からは1カ月に1度通院して下さい。

初めての投与

初回は、くさの耳鼻咽喉科で投与します。投与した後は30分間、待合室で経過を見ます。
初めて投与する日は時間がかかりますので余裕をもってお越しください。

(受付、説明、舌下免疫療法を受ける同意書記入、診察、投与、投与後30分の経過観察、会計=約1時間30分)

午前は11:00までに、午後は4:30までに受診をお願いします。
くさの耳鼻咽喉科以外でスギ花粉症の血液検査を受けられた方は、
その結果用紙を必ず持参して下さい。

(それ以降に来院された場合、クリニックでのシダトレン舌下投与は次回受診日に延期させていただくことがあります。)

初めての投与
投与方法

最初の2週間

最初の2週間

3週間後

以下を毎日、3~5年続けます。

3週間後
投与方法

治療費の目安

3割負担の患者様で、以下のようになります。(クリニックと薬局でお支払いの全ての合計金額です。)

受診回数

金額

初回受診時

約1,600円

2回目受診時(初回受診時から1週間後)

約1,200円

3回目受診時(2回目受診時から1週間後)

約1,400円

4回目受診時(3回目受診時から2週間後。その後は4週間に1回)

約1,800円

4回目以降は、1日約70円と考えるとよいと思います。

※アレルギー検査が必要な方は別途料金が必要です。
※スギ花粉が飛んでいるときは、症状によってアレルギー薬が別途必要となることもあります。

院長からのメッセージ

くさの院長イラスト

舌下免疫療法はスギ花粉を体に慣れさせることで花粉症の症状を発症させなくする、もしくは発症しにくくする治療法です。舌下免疫療法にご関心がある方の大多数は「すべてのスギ花粉症の方が完全に治る治療法!」と思われています。
ただ、何度もお伝えしておりますが、

  • この治療法は花粉症が完治する場合もありますが、
    全く改善されない場合もあります。
  • 3~5年間、毎日、舌の下にエキスを含まなければなりません。
  • これまでの報告ではまだありませんが、
    重い副作用が出る可能性が否定できない治療法であること。
を認識していただかなければなりません。

これらの舌下免疫療法の特徴をよくご理解いただいた上で
「スギ花粉症を克服するために舌下免疫療法をする!」とお思いになられた方に
一つのお願いがあります。

ご自身が「治療を続ける覚悟」を持ってください。

【治療を続けるためのワンポイントアドバイス】

毎日薬を滴下するためのタイミングを決める

(朝、激しい運動をしない方は、朝、歯を磨いた直後がお勧めです)

通院を継続するため、通院する曜日を決める

(2015年9月までは2週間に一度)

舌下免疫療法は、歯磨きと一緒です。
習慣にしてしまえば無理なく治療を続けることができます。

「花粉症は本当につらい。治るか治らないかはやってみないとわからないが、
花粉症の症状から解放される可能性がある舌下免疫療法をやってみる!」と
思われる方は是非受診されてください。

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