舌下免疫療法のご案内

ハウスダストの約80%がダニ!

ハウスダストとは室内にたまるホコリのことです。その中には、ダニのフンや死骸、昆虫のフンや死骸、綿ぼこり、繊維くず、人の毛髪・フケ、ペットの抜け毛、カビ、細菌、花粉、タバコの煙や排気ガス、土・砂など様々な物質が含まれています。ハウスダストとは色々なアレルギー成分の混合物ということです。
なんと、そのハウスダストの約80%(70~90%)がダニです。ハウスダスト1gの中にはダニが数百匹~数千匹も検出されます。
患者様の中にはハウスダストのアレルギーという事だけをご存知の方がたくさんいらっしゃいます。そのほとんどがダニだというこです。ハウスダストのアレルギーの方には、ダニのアレルギーがあるかを血液検査で確認する事をお勧めします!
もしダニが原因とわかれば舌下免疫療法を受けることができ、アレルギー性鼻炎の症状が軽くなる可能性が十分あります。

くさの院長イラスト

ミティキュアによる舌下免疫療法は、少なくとも3年は継続しないといけませんが、治療を開始して2、3ヵ月でも効果が現れてきます。
ダニが原因であることが多い通年性アレルギー性鼻炎の患者様は日本人の4人に1人いらっしゃいます。
ミティキュアによる舌下免疫療法を思いきって開始されてみませんか!

くさの耳鼻咽喉科・小児科 院長 草野謙一郎

ダニのアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法のご案内

舌下免疫療法の治療薬ミティキュア

舌下免疫療法の治療薬ミティキュアが発売される以前に約300人の方がこの治療を受けられています。まずは、その国内臨床試験結果を簡単にご紹介したいと思います。

ミティキュアによる舌下免疫療法を約1年間行うと、
【1】約8割の人がダニのアレルギー性鼻炎の症状が軽くなり、
【2】鼻の症状が約50%まで軽くなる


鼻の症状


と報告されています。
逆を言うと、約2割の方は残念ですが、効果が出ないということです。
治療方法は、3~5年間、毎日、舌の下に1分間、薬をのせた後に飲みこまなければなりません。また、この約300人に重篤な副作用はみられていませんが、今後、命にかかわるようなショックが絶対生じないとは断定はできません。

ですので、舌下免疫療法を受ける上で、
【3】約2割の方は効果が出ない
【4】少なくとも3年間、毎日、舌の下に1分間、薬をのせた後に飲みこまなければならない
【5】軽い副作用が約65%の方に生じます。そのほとんどは口の中に起こりますが、軽症ですので何もしなくとも自然に元にもどることがほとんどです。
【6】命にかかわるような副作用が絶対生じないとは言えない
少なくともこの6つをよく理解していただい方に舌下免疫療法を開始していただきたいと思います。

上記、ご理解がいただけました方は、以下に舌下免疫療法を詳しくご紹介しますのでご覧ください。

ダニのアレルギー性鼻炎治療の種類

対症療法

治療法特色効果

薬物療法

ダニのアレルギー性鼻炎の大半の方がこの治療法です。 症状を軽くできます。ただし、眠気などの副作用が出る場合があります。

手術治療

(レーザー治療)

出力の弱いレーザーをお鼻の中の粘膜に照射することにより、粘膜の腫れ、むくみをとり、ダニに過敏になった粘膜の感受性を低下させる治療法です。 症状に大幅な改善が見られます。 ただし、お薬の効き方が人によって異なるように、レーザー治療の効果や持続期間も人によって異なります。また、粘膜が元に戻った場合、ダニのアレルギー性鼻炎の症状が再び出現します。

根治治療

治療法 特色 効果

原因抗原の回避

日常生活において、アレルギーを起こす物質から回避することで症状を軽くします。 こまめに実行することで症状をかなり軽くすることができます。ただし、日常生活の様式をかえる必要があるので徹底することが難しいことが多いです。

アレルゲン免疫療法

皮下免疫療法/舌下免疫療法
ダニに対して免疫をつける治療法であるため、他の治療法と比較した場合、長期的にわたって治癒が期待できる治療法です。 体質の改善により、症状が見られなくなることもあります。ただし、治療期間が長くなり、重篤な副作用を引き起こす可能性が低いですがあります。(詳細は後に記載します)

アレルゲン免疫療法の種類

アレルゲン免疫療法は根本的な体質改善を期待する治療法です。
ダニのアレルギー性鼻炎を根治する可能性があります。

【皮下免疫療法】

日本では1963年にアレルゲンエキスが開発されて以降、皮下注射によるアレルゲン免疫療法(皮下免疫療法)が行われてきました。アレルギーを引き起こす原因となる物質であるダニのエキスを少しずつ皮下注射にて体内に入れて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です。(ただし、効果発現のメカニズムは十分に解明されていません。)通常、治療期間は3~5年にわたります。皮下注射を1000回~4000回すると1回の割合でショックが起きます。

【舌下免疫療法】

日本では2011年からダニのアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が開発を開始し、臨床試験が行われ、有効性が確認されました。そのため、2015年12月に保険診療が開始されました。
アレルギーを引き起こす原因となる物質であるダニのエキスを少しずつ舌下より体内に吸収させて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です 。(ただし、効果発現のメカニズムは十分に解明されていません。)

皮下免疫療法と同様に、3~5年かけて体質の改善を図る必要性があります。 (舌下免疫療法をやめた後、どれくらい効果が続くかは、治療期間の長さに関係すると言われています。ですので、舌下免疫療法を長く行えば、それだけ長く効くというこことです。)毎日、ダニのエキスを舌下に含みます。最初の1週間は低濃度のエキスを服用します。
2週目以降は高濃度のダニのエキスを毎日舌下に含んでいただきます。通常、治療期間は3~5年にわたります。

舌下免疫療法による効果

  • ●くしゃみ・鼻水・鼻づまりが、軽くなる、もしくは消失する
  • ●目のかゆみ・涙目が、軽くなる、もしくは消失する
  • ●アレルギー治療薬を、あまりもしくは全く使わなくてすむ
  • ●ダニのアレルギー性鼻炎の症状が軽くなり生活がしやすくなる。(QOLの改善)
比べてみました
このような患者様にお勧めします

治療にあたり、ご注意いただきたい事柄

ダニのアレルギー性鼻炎の治療法であるため、その他のアレルギーでは効果が期待できません。

投与するエキスはダニ専用です。 スギ、ヒノキ、カモガヤ…など、
その他のアレルギー物質では効果は望めません。

ダニ以外にもアレルギーがあり、ダニ以外のアレルギー原因物質に対する抗体値(特異的IgE抗体値)が高い患者様に有効かは不明です。
(臨床試験では、そのような患者様は除外されましたためです。)

治療不可

治療を受けることができません。

  • ダニ以外のアレルギー性鼻炎の方
    (必ず、採血検査でダニのアレルギー性鼻炎かを確認しなければなりません。)
  • 5歳未満の方
  • 重度の気管支喘息の方
注意が必要

治療に際して注意が必要です。

  • ダニアレルゲンを使った治療や検査によってアレルギー症状を起こしたことがある方
  • 気管支喘息の方
  • 悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方
  • 65歳以上の高齢の方
  • 妊婦中の方、授乳中の方
  • 抜歯や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
  • 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
  • ステロイドの内服薬や注射薬の投与を受けている方
  • 他に服用中のお薬がある方(非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシターゼ阻害薬)

▼非選択性β遮断薬
ハイパジール、ナディック、インデラル、ミケラン、ミケランLA、カルビスケン、アイデイトロール、ソラシロール、プロプラノロール塩酸塩、カルテオロール塩酸塩、カルノノン、チオグール、チスタロール、ベタメノール、メルカトア、ピチオロール、ビリンガル、ピンドロール、レットリット、ブロクリンL

▼三環系抗うつ薬
アナフラニール、ノリトレン、トリプタノール、アモキサン、トフラニール、スルモンチール、アンプリット、プロチアデン、ノーマルン、イミドール

▼モノアミンオキシターゼ阻害薬(MAOI)
エフピー、イスコチン、ヒドラ、ネオイスコチン、ザイボックス、セレギリン塩酸塩、イソニアジド、塩酸プロカルバジン

副作用について

軽い副作用
  • <15%程度の確率で起きます>
  • 口の中のはれ
  • 口のかゆみ
  • 口やのどの違和感
  • 耳のかゆみ
  • <5%程度の確率で起きます>
  • 口内炎、舌炎
  • 舌のはれ、唇のはれ
  • 舌のかゆみ、唇のかゆみ
  • のどのはれ、のどの痛み
  • お腹の不快感、むかむか
上記のような副作用が出た日は、経過を観察し、症状が治まらない場合は翌日受診してください。
ほとんどが何もせずに自然と落ち着きます。
重い副作用
  • ミティキュアを使った舌下免疫療法では、アナフィラキシーショックの報告は未だありませんが、可能性として完全に否定はできません。
  • ミティキュア以外の薬剤を使った舌下免疫療法では、約1億回投与して1回の割合でアナフィラキシーショックが報告されていますが、アナフィラキシーショックで死亡した報告はありません。(仮にアナフィラキシーショックになったとしても命に別状はなかったということです。)

<参考> 舌下免疫療法ではなく、注射で行う皮下免疫療法では、アナフィラキシーショックや、アナフィラキシーショックで死亡したような重い副作用の報告は、かなりまれですがあります。

下のような副作用が出たときは、アナフィラキシーショックの可能性がありますので、直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。

●突然のショック症状(意識が遠くなる、呼びかけても返事がない、脈が早くなる、不整脈、血圧低下)
●呼吸器の症状(声がかれる、胸がしめつけられる、呼吸がしづらい、呼吸がゼーゼー・ヒューヒューする、顔や唇が蒼くなる)
●皮膚症状(全身が赤らむ、顔がはれる、蕁麻疹など)
●目の症状(よく見えない、視野が狭くなった)
●胃痛が続く、嘔吐が続く

舌下免疫療法の具体的な治療方法

開始時期

スギ花粉症に対する舌下免疫療法とは違い、1年を通していつでも開始することができます。

毎日投与

1年中、毎日投与していただく必要性があります。

継続期間

最低でも3年以上は治療を継続してください。通常、治療期間は3~5年です。

2016年11月までは2週間に一度の通院が必要です。2016年12月からは1カ月に1度通院して下さい。

初めての投与

初回は、くさの耳鼻咽喉科・小児科で投与します。投与した後は30分間、待合室で経過を見ます。
初めて投与する日は時間がかかりますので余裕をもってお越しください。

(受付、説明、舌下免疫療法を受ける同意書記入、診察、投与、投与後30分の経過観察、会計=約1時間30分)

午前は11:00までに、午後は4:30までに受診をお願いします。
くさの耳鼻咽喉科・小児科以外でダニアレルギーの血液検査を受けられた方は、
その結果用紙を必ず持参して下さい。

(それ以降に来院された場合、クリニックでのミティキュア舌下投与は次回受診日に延期させていただくことがあります。)

初めての投与

最初の1週間

最初の1週間

2週間後

以下を毎日、3~5年続けます。

2週間後

治療費の目安

3割負担の患者様で、以下のようになります。(クリニックと薬局でお支払いの全ての合計金額です。)

  • 初回受診時:約1,600円
  • 【1週間後】
    2回目受診時:約1,300円
  • 【1週間後】
    3回目受診時:約1,700円
  • 【2週間後】
    4回目受診時:約2,500円
    その後は4週間に1回受診

4回目以降は、1日約90円と考えるとよいと思います。

(2016年11月までは2週間に一度の通院が必要です。2016年12月からは1カ月に1度通院して下さい。)

※アレルギー検査が必要な方は別途料金が必要です。
※アレルギー症状が強い時はアレルギー薬が別途必要となることがあります。

院長からのメッセージ

くさの院長イラスト

舌下免疫療法はダニ抗原を体に慣れさせることでダニのアレルギー性鼻炎の症状を発症させなくする、もしくは発症しにくくする治療法です。舌下免疫療法にご関心がある方の大多数は「すべてのダニのアレルギー性鼻炎の方が完全に治る治療法!」と思われています。
ただ、何度もお伝えしておりますが、

  • この治療法はダニのアレルギー性鼻炎が完治する場合もありますが、
    全く改善されない場合もあります。
  • 3~5年間、毎日、舌の下にエキスを含まなければなりません。
  • これまでの報告ではまだありませんが、
    重い副作用が出る可能性が否定できない治療法であること。
を認識していただかなければなりません。

これらの舌下免疫療法の特徴をよくご理解いただいた上で
「ダニのアレルギー性鼻炎を克服するために舌下免疫療法をする!」とお思いになられた方に
一つのお願いがあります。

ご自身が「治療を続ける覚悟」を持ってください。

【治療を続けるためのワンポイントアドバイス】

毎日薬を服用するためのタイミングを決める

(朝、激しい運動をしない方は、朝、歯を磨いた直後がお勧めです)

通院を継続するため、通院する曜日を決める

(2016年11月までは2週間に一度の通院が必要です。2016年12月からは1カ月に1度通院して下さい。)

舌下免疫療法は、歯磨きと一緒です。
習慣にしてしまえば無理なく治療を続けることができます。

「ダニのアレルギー性鼻炎は本当につらい。治るか治らないかはやってみないとわからないが、
ダニのアレルギー性鼻炎の症状から解放される可能性がある舌下免疫療法をやってみる!」と
思われる方は是非受診されてください。

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